円安を考える
12月初旬についに1$=120円を超えました。円は、あの2011年に1$=75円だったのですが、ここまでで60%安くなったことになります。
そもそもの発端は、「アベノミックス」で、日銀が金融緩和の名のもとに市場にお金を流通させることから、円が大量に市場に出回り、円安が始まりました。その結果として、円安効果の最も顕著なのは、輸出産業です。また、同時に円安株を中心に株が上がり、AIUの倒産などで青色吐息であった社会保障関連の組織体が息を吹き返したのも事実です。サラリーマンの懐は相変わらず厳しいものがありますが、年金が払えなくなるという事態の連鎖には一息つけたと言えます。
しかし、反面悪いところはここまであまり論議されませんでした。その代表的なものがここにきてよく取り沙汰されている「円安倒産」です。日本は製品の原材料はほとんど輸入に頼っています。その輸入品の仕入れがどんどん高くなったのですからたまりません。輸出販売がなければコストアップは吸収できないので採算はみるみる悪化します。そこで考えられる対策が値上げです。牛肉の吉野家が300円から380円に値上げを発表しましたが、これが通れば生き残れますが、できない、通らない、あるいはそのタイミングすらない企業は倒産してしまうのです。
アベノミックスによる労働者へのプラスの還元は、輸出産業のボーナス一時金の増額とごく一部の基本給ベースアップに限られているので、景気の実感がないというアンケート結果は当然と言えます。
こんな時代に我々庶民は、どうやって生きていったらいいのでしょう?
日本経済はこのまま公共工事ばかり優遇していると、第二のリーマンショックに見舞われるでしょう。バブルが弾け、国債が暴落し、大変なことになると私は悲観的にみています。
こんな日本の事情を鑑みて、今回は私から2つの提案をさせていただきます。
1つめは国家施策として、今こそ国内中心産業の育成に力を入れることです。大震災が起きた直後のブログで私が指定したように、原発に代わる「エネルギー産業」、超高齢化社会に対応する「シルバー産業」、原発等の事故や介護に威力を発揮する「ロボット産業」の3つの産業です。日本の将来のグランドデザインを今こそつくることです。
2つめは、バランス感覚をもって生活することです。円高の時代は円高対応、円安の時は円安対応の生活を心がけることです。1つの場所に固執するのではなく、プラスとマイナスの今どこにいるのかを常に認識して生きることです。円高なら海外旅行とか$買い、円安なら国内旅行と$売り、というふうに生活の軸を変えてください。これはインフレでもデフレでも同じ考え方です。いままで国内にしか向いていなければ国外に眼を向ければ見える景色が変わります。
円安でうろたえるのではなく、冷静に現状を分析し、社会情勢に合った出来うる対応をしていくことが豊かな生活につながると思うのです。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- どこにも生きる知恵はある(2016.07.04)
- ブログ再開(2015.02.20)
- 円安を考える(2014.12.11)
- 正解は一つではない(2014.03.26)
- 法人税(2013.10.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント