聴き上手になろう!
大学の授業の最終講では、学生に「ラストメッセージ」を伝えます。
今年は「聴き上手になろう」という言葉を選択しました。学生が欲しいと思っている能力の礎がここにあると思っています。
学生が手に入れたいのは、1.コミュニケーション能力のレベルアップ、2.友達づくり、3.伝達力・表現力のアップの3点がメインではないでしょうか?
そのすべてのベースになるのが、「聴くこと」だと思います。
上記3つのそれぞれについて考察してみます。
その1は、コミュニケーション能力のアップという視点です。私が考えるコミュニケーションの公式は、f(c)=0.7l+0.2q+0.1t というものです。cはcommunicatuon、「l」はlisten(傾聴力)、「q」はquestion(質問力)、「t」はtalk(伝達力)です。コミュニケーションの70%は傾聴力、20%は質問力、10%が伝達力からなるという考えです。コミュニケーションに最大の影響を及ぼすのが「聴く」という傾聴力です。「聞く」(hear)ではありません。「聴く」は、門の中に耳があるのではなく、耳があってそこに眼と心がプラスされるという漢字で表現します。「聴く」ということは、基本的なマインドの部分とスキルの部分がありますが、大事なことは、「私は貴方の話を聴いている」ということを相手に伝えることです。
2つ目は、友達づくりという視点です。あなたなら話を聞いてくれそうだと相手が思った時、あなたは信用という大事なものを獲得したと言えます。あなたと一緒にいる空間が心地よいと人が感じるようになると人が集まってくる、結果として友達が増えるという道理です。新たな友達をつくりたい、と思って大学に入ってくる学生が多いのですが、なかなかうまく友達がつくれないという声をよく聞きます。この現象は異性との恋愛もなかなかままならないということにもつながっているように思います。もし私が学生時代から「聴き上手」だったら、今頃すごい人脈を持っていたに違いないと思います。
3つ目は、伝達力・表現力のアップにつながるという点です。人は、インプットの量と質が良ければ、アウトプットのレベルも上がるというものです。「聴くこと」はインプットで、アウトプットとしての伝達力や表現力のレベルアップにつながります。知り合いのミュージシャンの一言「音楽で表現力を上げるためには、どんどん聴くことが必要」。また読書をしないといい文章は書けません。まさに「聴く力」と伝達力・表現力の関係と同じではないでしょうか?言いにくいことを明確に相手に伝えかつ相互に尊重し合うWIN-WINのコミュニケーションといわれる「アサーション」もしっかり相手の言いたいことを聴いていないと自分の正当で場に合った意見は言えません。
すべての礎は「聴く」ことにあるという考えに基づき、分かりやすい表現にしたのが「聴き上手になろう!」というメッセージなのです。
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