いじめ防止法
「いじめ防止対策推進法」という法律が可決されました。内容を確認してみて、これは意義のある、実効性が伴う法律だと期待しています。
大学の授業をやってみて、最近特に気になるのが、「学生のメンタル不全」です。授業運営上もっとも悩ましいのが「学生のメンタル不全」です。。コミュニケーションがとれないというのは共通ですが、自ら壁をつくり他人を寄せ付けない、不自然で威嚇的、自分の思い通りにならなかったらきれる等、人によってそれは様々な形で現れます。すでに心療内科に通院していて事前に病名を言ってくれる学生も各クラスで1人程度の割合で存在します。総じて、50人に1人以上の割合でメンタル不全があるというのが私の印象です。
その主たる原因が、「いじめ」なのです。2年前は学内でカウンセリングも担当していたので、1対1の話ができ、学生本人に確認できました。皆、口を揃えて、「いじめにあった。それが原因。」と言っていました。今は、授業とカウンセリングの担当が分離してしまったのではそれは叶いません。しかし、動作、言葉、文字などで、今はすぐにメンタル不全を見抜くことができます。そして、確認してみると、ほぼ100%の確率で、みな「いじめ」にあっていることがわかりました。
メンタル不全をかかえている学生は懸命にそれを克服し社会に順応しよう、と涙ぐましい努力をしています。しかし、なかなか結果を出すのは難しい。私のキャリア授業にはそんな想いで参加してくる学生がいるわけで、なんとか高い確率でその克服に寄与してやりたいのですが、実際はそう甘くはありません。このまま、卒業すると、「社会にまだ順応できない」と思う段階で送り出すことが多いのです。また、就活に成功すれば結果が出たと喜んでいいと思いますが、なかなかそうは問屋が卸してくれません。
「いじめ」の罪は重い。いじめた方は、社会に出る頃にはそんなことは忘れてしまい、1人前の社会人として生きていけます。一方、いじめられた方は一生その心の傷を抱えて生きていくのです。これは重い。そこには、自己肯定感も客観性もありません。
学校の先生は忙しいのはわかりますが、いじめ問題があれば最優先に取り組むという仕組みが必要ではないでしょうか?親も最大の関心をもって、「いじめ」に敏感になるべきです。自分の子が加害者か、という観点も重要です。
日本の国力が衰退しているのは、「いじめの後遺症」ではないか、と思うぐらい、この問題は深刻です。かような想いから「いじめ防止対策推進法」の実効に期待しています。
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