派遣切り
このところ、労働者の解雇問題がニュースで、連日報道されています。TVでは、解雇通告を受けた派遣労働者が集まり、デモ隊を編成して、厚労省に陳情するいう場面を映像化していました。キャノンなど日本を代表する企業や外資系のIBM、そしてトヨタに代表される自動車産業。不景気という一言で言い尽くされてしまいますが、しわよせが弱い者に来ています。
私のところに先日きたクライエントは、正社員になって、1年半で、パートに逆戻りさせられた、と苦しい実情を話してくれました。現場を預かる私には、世の中でなにがおきているか、TV局よりちょっと進んでみえています。今回の即解雇という雇用状況について、今日はキャリア・コンサルタントという立場から論及してみます。
言いたいことを3つに絞ります。1つめは、労働者派遣法についてです。昔は派遣労働という制度はなかったのですが、1999年特定業種に認められて以来、どんどん緩和され全業種解禁になりました。正規の職につく一時凌ぎでなくそれが常態化の世の中になりました。派遣会社、労働者、受入企業のすべてが、瞬間的にWIN-WINになったからです。いまその歪みがでているという時代認識をしております。
2つめは、企業の人間に対する扱いが軽くなったのでは?という危惧です。正社員の処遇をなるべく維持するために、派遣や契約の社員を簡単に切ってしまう、宣伝費など他の経費の圧縮以前にそれをやる。経験的に許されているので、経費削減となるとすぐそこに目が行く。同じ仕事をしているのに、派遣労働者が切られる。どうも派遣切りの優先順位が高くて、イージーに流れている傾向があるのではないでしょうか?
3つめは、マズローの法則です。今回、解雇されて一番困るのは、翌日から飯が食えない、ということです。マズローの法則のもっとも下にある「生存の欲求」です。いかにきれいごとを言っても、「生存の欲求」が満たされないことには、次のレベルには進めない、ということを今回痛感いたしました。派遣から正社員という要望がありますが、これは、次の段階、「安全の欲求」だと思います。以上、徒然に思いを述べましたが、キャリア相談は今後益々厳しい局面を迎えそうです。
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