引き際
TBSのニュースキャスター筑紫哲也氏が亡くなった。74歳肺癌と聞いた。最近では、人の寿命は、80歳を越えることが多く、70歳代は若いという感じがする。筑紫氏は本年の4月も韓国の大統領へのインタビューでTVに出ていた。抗癌剤の影響を思わせる毛糸の帽子をかぶって痛々しい限りであった。人間ここまでやらねばならないものであろうか?彼は生涯現役を通したが、そうじゃない人も大勢いる。今日は人の引き際というものについて論及してみたい。
筑紫氏と反対にいとも簡単に幕を引いてしまった人は、福田前首相だ。前も申し上げたように、彼の場合も同情すべき点はある。まあそれはおいといて、ここでは、この2人を両極端として、今年現役を去った人達を展望してみよう。
まずは、ソフトバンクの王監督。惜しまれてやめることになるが、昨年胃癌を患っているので周りは余計なことはいわない、いえない。引き際としては見事である。次はオリックス清原選手。彼のやめ方は、同僚の桑田選手に似ている。野球選手として結果がだせなくなるまで自分を追い込んで力尽きた感じである。選手としての盛はとっくに過ぎていた。
マラソンの高橋尚子選手の場合はどうか。走れるだろうが、以前のようなパフォーマンスはもう出せない、と言っているように聞こえた。自然で非の打ちどころのないやめ方である。全く逆に、パフォーマンスが出せず思い悩み自殺してしまった円谷幸吉選手を想い出す。
以上、今年幕を引いた6人をみてみたが、私自身の思いは、高橋尚子選手に近い。会社員の場合、パフォーマンスといっても見えない部分もあるが、だからこそ潔さと後輩尊重の姿勢を堅持していこうと思っている。私が早期退職したのもこの視点があるからだ。企業研修の講師や講演、現場のカウンセリング、コーチング等の現在の仕事のどれをとっても、クライアントに対して申し訳ない、失礼というレベルを自分で感じたら、即やめようと思っている。プロのキャップをかぶれるうちはいいが、かぶれなくなったら潔く身を引こう、と私は思っている。だから、筑紫氏のような生きざまは私はとらない。今年一番格好よかったのは、有終の美を飾った陸上短距離の朝原選手であろう。
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